文筆業のこと

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ここ数年、寄稿を頼まれることが増えた。各美術メディアへでの雑文がその端緒だったが、このところ一般メディアからもぽつぽつ。共同通信社が配信する美術展批評は今年から担当(年間3回)し、昨年度よりの芸術新潮の書評欄の連載は、延長のお話をいただいて2年目を迎える。
書棚の一角に、批評した書籍を並べるのが、現在の私にはささやかな楽しみになっていて、私の頭の中身を見るようだ。こう並べると、「認識」に関わるものが多いと感じている。どの本も、私が書いたわけでもないのに、愛しく感じられるから不思議だ。基本、私は批評と言いながら、disることを目的にはしていない。好きな本を「俺は面白いと感じたんだけど、みんなはどうかな。」という姿勢でずっとやっているから、当然といえば当然か。

私は本来的に画家であり、余技である事は言うまでもないが、周辺の視線ならではの内容もあろうと、続けようと思う。

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ETV特集を観ていただいた皆さんに

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ETV特集「忘れられた人々の肖像~画家・諏訪敦 “満州難民”を描く」を観ていただいた皆さん、感謝です。

番組中では3ヶ月ほどの期間の内容を紹介しておりましたが、実際は5年にわたる長期旅行のような取材でした。本当に内外の多くの人に話を聞き続け、事実関係とともに当時の空気、手触りを私の認識の中に再構成することを試みてきました。

あの番組中で行為し、行動していたのは確かに私なのですが、番組自体はETV特集スタッフの作品であり、そこは尊重したかったので、私は一切の編集はおろか、どういうカットを使って欲しいとか、希望を述べたり操作することもしませんでした。

古老達の証言や、私が取材中に見たものにはテレビに適さない、あまりにも残酷な事実や、強すぎる言葉、それぞれの怒りの吐露などの情報も多く、やはりそこは割愛されてましたが、絵画そのものには、それらが何らかの形で反映されております。
もしもあの移民政策にもし視聴者が関心を持ったとしたら、私の行為や発言の端々を辿れば、おびただしい問題点にすぐに突き当たるような作りになっていたと思います。
それが番組中に私が発言していた「一矢報いる」こととは申しませんが、失われた家族の思いとは矛盾することはないと思います。

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カメラの前で仕事をするのは、画家にとってプレッシャーでありますし、手の内を明かすようで、抵抗があるものですが、そういうところで格好をつけたら番組の質に関わりますから、個人情報に類する事項以外は撮影に制限は与えませんでした。
さすがにもう今後は、写真模写云々とか、私の絵画にとってどうでもいい言及のされ方をすることはないでしょう。私が絵画を描くのに、写真は実際あまり役に立ちませんし、そもそもが被写体が不在なのですから。
私の絵画は、もう随分前に一般的な写実という概念とは脱臼しているのでしょう。これはNHKや、ETV特集の取材に協力してきて、その記録が図らずも明瞭にしたことのひとつです。

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発疹チフスのことは、安直な想像で補ってはいけないものですから、正確な知識を求めて、国立国際医療研究センターの 国際感染症センター国際感染症対策室 加藤康幸先生にお教えいただきました。

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顔面は幾つか想定できる選択肢が存在し、何度も描き直すことになりましたが、結局、父親の死に顔を参考にすることとなりました。ひいては、私自身にも似てきました。この顔は骨格を強調した、選択肢の一つ。数日だけキャンバスの上に現れて、上塗り層の下に消えて行きました。

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私があの取材で気づいたのは、祖母にまつわるどんなに過酷なエピソードでも、探し出し、知ることができると、非常に奇妙な感情ですが、ある種の嬉しさも感じたということです。そこに確かに生きていた事を、ひいては存在を確信でき、失われた人たちとの関係を再び切り結び、召喚できるような気がしたからでしょう。

夜遅くまで起きて、最後まで番組をご覧になってくださった皆さん、ありがとうございます。スタッフは放送に耐える内容ぎりぎりまで検討を尽くし番組にしてくれたのだと思います。

見逃した方は NHKオンデマンドでご覧になれます。

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ちょっと嬉しかったこと (村上隆のスーパーフラット・コレクション 〜 横浜美術館コレクション展)

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「村上隆のスーパーフラット・コレクション」のレセプションに行きました。これがしょっぱなのキーファー巨大作品三連発、リ・ウーハンのインスタレーション 《 Dialogue - Excavation 》 から始まる、壮大な見物でした。
東洋美術、民芸の部屋を抜けて、1950年代から現在までの国内外のアート作品の部屋に入ってすぐに、Doug + Mike Starn のよく知られた作品が、ホルスト・ヤンセンに囲まれていました。
素描家として著名なヤンセン。実は村上隆さんの描線に直接的な影響を与えているように見えます。カリカリの現代美術ではありませんが、そういった意味で、プライベートな文脈を示す正直な展示だな、と感銘をうけたのでした。

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実は、同時開催されている横浜美術館の常設コレクション展「神話とヌード」に拙作 《Stereotype 08 Design》 も展示されているのです。通称 《08》。 村上隆さんのレセプションにあわせて、自分でも初めて観に行きました。実はかなり充実した展示で、グローデン、ギュスターヴ・モローの優品からはじまり、鏑木清方の大作「遊女」などを経てたどりつく、〈聖と俗〉の流れの最終作品。

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《08》 の設置場所がDoug + Mike Starn の真横で感無量でした。彼らは学生時代のアイドルでした。スターン・ツインズの写真集はぼろぼろの状態だけど、今も本棚にある。しかもこの 《石棺(凸面、平面、凹面)》 は彼らの中でもベスト中のベスト。

美術館コレクションというものの、底力を見る思いでした。

大学アトリエで、具象画故に見下されて怒りだけを溜めていた、あのころの自分に教えてあげたい。

「いいから自分の絵画を続けろ。そのうちいいことあるって。」

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零下の村にて。

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超御無沙汰の更新です(笑)。
ちょいちょいリークしているのですが、現在、ふたつのドキュメンタリーに、被写体として取り組んでおります。こちらは、2011年以来、なかなか着地点を見出せずにいた作品の経過報告です。
平均気温零下20度にもなる、黒竜江省に飛んでおりました。
寒冷地仕様の装備を用意して行ったのですが、これは、鈴木理策さん推奨の、ソレルのウィンターブーツ。定番の CARIBOU です。

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舗装もされていない、寒村、馬太屯に向かいました。二重サッシでもない、日干しレンガの古びた農家に入って、古老にインタヴューしましたが、それがけっこう暖かい。薪や石炭等で火を入れる、調理場のオンドルが健在でした。じわりとした暖気が隣りの居室〜寝室の暖房も賄っている。

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村の男達が集まって、春節を迎えるまでの、数件の家の食料として、豚を一頭解体していた。参加した家々に、平等に分配する。肌に切り込むような零下の寒さ。しんとして清浄な世界。これは、ちょっと前までヨーロッパでも普通に見られた季節の風景。基本、現金収入がかなり少なく、自給自足のこの村では、男達はこの作業が出来て当たり前。本来的な生活の営みを見る。

都市化された国々では、こういった他の生命をいただいて、食料が賄われていることを、否が応でも実感するプロセスを、遠い、目の届かない所に追いやる。そして知らない誰かに委託して、何らかの感情がわき上がる事を回避しているのかもしれない。そんなことをしみじみ思った。

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日曜美術館 『忘れられた天才 明治の洋画家・五姓田義松』 ゲスト出演について

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ETV日曜美術館 2015年10月11日(再放送:10月18日 )放送予定の 「忘れられた天才 明治の洋画家・五姓田義松」に、ゲスト出演します。

収録のため、横浜馬車道通りにある、神奈川県立歴史博物館で開催中の、『没後100年 五姓田義松 -最後の天才』 へ行きました。

出演者は、 不肖・諏訪敦の他に、山下裕二さん (明治学院大学教授) 、 角田拓朗さん(神奈川県立歴史博物館 学芸員)、古田亮さん(東京藝術大学准教授)、秋本貴透さん(東京藝術大学准教授)といった、近代美術に造詣が深い面々。

《明治の初め、義松の名は若き天才画家として知れ渡っていた。しかし、なぜかその名声はやがて忘れさられてしまう。一体何があったのか》

美術史から忘却されていた、天才を再び浮上させることは、研究者にとって、もっともスリリングな事業です。若き研究者、角田拓朗さんの功績はここで記録される事でしょう。そしてある意味、日曜美術館の得意分野であるかもしれません。

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五姓田義松(ごせだ・よしまつ 1855-1915)とは、後年、五姓田派といわれる、画工一族の御曹司であり、父は国芳一門に名を連ねる、幕末〜明治の日本美術黎明期にあって、早熟の天才の名をほしいままにした画家です。 10歳のとき、英国人画家・ワーグマンに入門。これは1年遅れてやってきた30歳年上の高橋由一の兄弟子であったことを意味します。義松は恐るべきスピードで上達、日本を代表する画家へと成長しました。更に当時世界美術の中心地であった パリで邦人初となるサロン入選を果たし、フランスアカデミズム絵画を日本人で初めて体得した画家といえましょう。
明治皇室から仕事を依頼されるほどの地位にありながら、何故、その天才性は急速に失われてしまったのか、そして誰が彼を美術史上から抹殺したのか。興味は尽きない画家です。

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番組収録はこのような感じで行われるのです。
実は今回、私は番組からの、無茶振りに応えております。急でしたが、画家を自称する以上、あの程度のことには現場でさらりと応じられなくては、名が廃るというものです。とはいうものの、ひやひやしました(笑)。どんな風に撮れているのか私にもわかりません。

本編で御確かめください。

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この母を描いた小さなタブローは、この時代にあって驚嘆すべき内容を含んでいます。是非、展覧会で、そして日曜美術館で御確かめください。

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「どうぞ」とすすめてくれる器

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タイトルを読んで、なんのことかと思ったでしょう。
その傾き具合で、一目瞭然だと思います。ちょっと笑える内田好美さんの焼き物。
立ち寄った食器屋さんで、すみっこに鎮座していた器に「どうぞ」と言われた気がしたので、ついつい連れて帰る事にしました。ご飯がさぞかしすすむことでしょう。

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横から見ると判りますよね。こういうことです(笑)。重力に耐えきれずひしゃげたのを、採用した模様。この根性無し具合に感じ入った訳です。本来僕は、かちっとしたモノが好みなのですが、あまりの大らかさにやられてしまいました。

作家の内田好美さんがいらっしゃったので、即興で銘を考えていただきました。
命銘 「へっちょこ碗 」   …へっちょこってなんだ(笑)。
桜色に染まっているのは、辰砂釉が散っているためです。僕ら画家には御馴染みの岩絵の具の名(赤色硫化水銀)ですが、陶芸におけるそれは、銅由来であり、違うものです。珍しい色味で、料理に合いそう。
同時に展示されていた小澄正雄さんの硝子は素晴らしい仕事で、私の本来的な好みにぴったりだったのですが、今回は我慢(笑)。

西荻窪 魯山
 「内田好美 小澄正雄 二人展 2015」
2015年7月25日(土)~8月2日(日) pen 11:00/19:00 28(火)お休み

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須田一政先生と「画中画」をめぐって

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御無沙汰の更新になってしまいました。
成山画廊で、須田一政さんの展覧会「SOLO」が始まっています。

2015年6月27日(土)〜2015年7月18日(土)
〒 102-0074 東京都 千代田区 九段南2-2-8 松岡九段ビル205号
TEL 03-3264-4871
URL http://www.gallery-naruyama.com/
開館時間 13:00〜19:00 水曜・日曜・祭日休廊

本展覧会は写真家の出生地である東京の千代田区、現在居住している千葉で撮り下ろした作品で構成されているという。展覧会名は「個」の満ち足りた心情が込められているそうです。
プレスリリース、そしてDMのメインイメージとなったその作品は、画廊主の成山明光氏がモデルとなって、私がやはり彼を描いた油彩肖像画が写り込んだもので、様々な系譜を読み取れる「画中画」仕立てとなっています。画廊主はこれまでに、あまたの写真家からのモデル依頼に多く応えてきたが、彼の顔貌は、写真家の意欲を何か刺激するものらしい。

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須田一政先生と。

そのクールな作品群を思い起こすと、おおいに緊張してしまったのですが、こういう機会はなかなかないので、ミーハーさに恥じ入りながら、御願いして一緒の写真に納まっていただきました。奥様が私の仕事をよく知っていてくださったので、とても良い雰囲気の初対面となりました。このところ、フォトグラファーの重要人物との御縁が立て続けです。先日「たまきはる」展で感銘を受けた、神藏美子さんとも初対面。他ジャンルのアーティストたちとの会話は、私にとっても発見が多いので、喜びがあります。

展覧会は、言うまでもなく激シブです。先生を慕うお弟子さん筋の方たちも、たくさん来訪していて盛況でした。

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千鳥別尺のヤマザクラ

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先日、酒宴の席で、広島と岡山、鳥取の県境に、とんでもなく巨大なヤマザクラが忽然とある、という話になりましたが、うっかり「見たいなあ」と言ってしまい(笑)そのまま夜明けを待って、車をぶっとばして見に行くことになりました。
アクセスが悪くて閉口させられましたが、関ヶ原の合戦あたりに芽生えたその姿は、来てよかった!という思いにさせられるものでした。千鳥別尺のヤマザクラという名だそうです。

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天気がとてもよくて、日本の原風景という陳腐な言葉を思い出しましたが、正にそう。

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クロード・モネの『散歩、日傘をさす女性』を思い出しました(笑)。
胸高幹囲り4.5m,高さ25m。普通はここまで巨大だと、幹が腐敗してウロなどができるそうなのですが、とても状態がよく、周囲の色を変えてしまう程の花びらを周囲に舞わせていました。かけねなしに美しい、おどろきの風景でした。

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なんだかんだで竣工。

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新アトリエがこの年度末日、 3年がかりでやっと竣工に漕ぎ着けました。
設計が揉めたり、予算がとんでもなく変わってしまったり、復興やオリンピック準備やらで、職人の確保が大変になりつつあったりで、もう時間がかかり過ぎて、完成しないのではないかと思ったりもしたのです。
住宅街に浮きまくっているRC造は、不穏な感じではあります 笑。アトリエ詳細についていずれどこかで紹介出来ればと考えてますが、具体的には未定。

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春のうちに、関係者〜身内でささやかなお披露目会をする予定。
プロジェクトに関わった方(構造設計桐野さん・梅原さん、照明デザイナーの村松さん、見積もり図作図の笠掛さん・伊藤さん)お世話になりました。
オザワデザインさん、田嶋建設さんはもうちょっとおつきあいください 笑。引き渡していただいたとはいえ、細かな調整やら修正やらが山積みで、 本格的な引っ越しはまだ先になりそう。

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諏訪敦 「美しいだけの国」

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御無沙汰しております。個展を開いてみようと思い立ちました。
僕は自分の作品に悲観的ですので、あまり観てもらいたくないな。という気持ちもあります。御世辞にも気易く入れる雰囲気の画廊でもありませんし (笑)。
とはいえ御時間の許す方は是非。

成山画廊
〒102-0074 東京都千代田区九段南2-2-8 松岡九段ビル205号
EL/FAX: 03-3264-4871
2015年 3月27日 (金曜日) ~ 4月25日 (土曜日)
Open : 1 ~ 7 PM / Closed : Wed, Sun, Holidays

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「写真と絵画に内包される記憶」  鈴木理策 × 諏訪敦 後日談。

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2015年1月18日 に開催された、連続トークイベント
「写真と絵画に内包される記憶」  鈴木理策 × 諏訪敦 に、多くの御来場をありがとうございました。
IMA CONCEPT STOREは、六本木AXISビルにあって、ちょっと懐かしくも相変わらずオシャレなビルなのでした。

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私からは、こういうふうに皆さんが見えてました。席が埋まった状況では、なおさら真っ暗で、ほとんど判別ができない。
知っている方達も多数来られていたようですが、全員と言葉を交わす事はかないませんでした。すみません。やっぱりこわい?(笑)。

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隣でながめる鈴木理策さんは、こんな感じでなかなか格好いいのです。 何故、理策さんが僕を対談相手に指名したのか、また写真〜絵画の領域に絡み合うような思考で制作されている事が、この場ではっきりと理解出来たのでした。また、写真集を作る意味、その構造とエピソードは興味深いものでした。
理策さんは、2015年2月1日(日)-5月31日(日)、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で、大きな個展が控えています。この関係はしばらく続きそうです。乞うご期待。

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トークイベントを開催します。

写真雑誌 IMAの依頼により登壇いたします。鈴木理策さんの相手として役不足かもしれませんが、頑張ろうと思います。最新号の内容に触れ、絵画と写真の関連性、我々自身の制作の根幹に関わる話をしますので、是非。

2015年1月18日 午後7時~
「写真と絵画に内包される記憶」  鈴木理策×諏訪敦
開催地 IMA CONCEPT STORE
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3F
TEL: 03-5572-7144 

講師 鈴木理策(写真家) 諏訪敦(画家)
定員 80名
料金 【一般】1,500円(税込)
【雑誌『IMA』定期購読会員】1,200円(税込)
申込期間 - 2015年01月17日(土)

『IMA vol.10』では、絵画と写真という切っても切れない密なる関係性を探るべく、絵画にまつわる魅惑的な写真作品を紹介しています。 IMA CONCEPT STOREでは、この最新号を記念して、「絵画と写真」にまつわる切り口で連続トークイベントを開催いたします。 第2回目は、写真家である鈴木理策氏と画家の諏訪敦氏をお招きして絵画と写真について話していただきます。 写真家である鈴木理策氏は写真集『Mont Sainte Victoire』『Atelier of Cezanne』などにも見られるように、画家の記憶を視覚化するような作品群を発表しており、その作品群からは視覚のみに収まらない記憶や気配を感じ取る事ができます。また画家の諏訪敦氏は、絵画の原体験でもある写実的な作品群で知られ、近年では徹底した取材とともに人の記憶に触れる絵画を制作しております。 絵画と写真、その二つに内包される記憶とは何なのか?2つのメディアに対して意識的な二人によるトークが繰り広げられます。是非この機会にご来場いただければと思います。(IMA)

IMA CONCEPT STORE HP
予約はリンク先で御申し込みください。

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ベルリンでのこと。

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もう師走ですが、今年は国内外を行ったり来たりでした。6月に、ドイツのハノーファ工科大学まで講義をしに行っていたのですが、帰国途中にベルリンに寄ったので、本日はそのお話を超簡単に。
ベルリン駅に高速鉄道で到着。20年以来使っているリモワもドイツ製。現行品にはないボロボロなものでも駅のホームはによく似合いました。里帰り。

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折しも、ブラジルワールドカップのドイツの試合日で、街中がパブリックビューイングの為に騒然。H.I.S.のミスで、駅からとんでもなく遠い場所にホテル予約がされてしまっていた事に気づき、やむなくタクシーに(苦笑)。至る所に交通規制があって、乗り合わせた黒人のタクシードライバーさんは、ずっと愚痴ばかり。

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映画「ベルリン天使の詩」で見た、あの通りは、国家を歌いながら闊歩する、サッカーのサポーターでぎゅうぎゅう。それに加えて、これも偶然なのだけどこの日はゲイパレードにもあたり、多彩な濃い方々が混ざり合い、肉々しくて満杯でした。路肩にはあっという間に割れたビール瓶の吹きだまりが出来る。端から掃除人がそれを片付けていく。機動隊も出ていてカオス。街全体がスラム化(笑)。クラシックなハードゲイの皆さんも健在で驚く。

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ゲイパレードの、おそらくは最年少参加者(笑)。意味がわかんないらしく、鼻をほじってました。そうだよな。お前の母ちゃんの主張は、お前には関係ないものな。

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目当てのベルリン絵画館。
うってかわって人もまばらで、閑静。
やっぱ、ホルバインはいい。マイナーな作品でも一定の張りがあって。斜光を当ててみると、正にタブロー。

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ブリューゲルにびっちり貼り付いて鑑賞する少女の立ち姿は堂々たるもの(笑)。

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もっとも見たかった、ペトルス・クリストゥス (Petrus Christus)の『若い女の肖像』(Bildnis einer jungen Dame) 1470年頃作 。
僕の最も理想に近い肖像画のひとつ。

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近接してみると、食べ残した餅の表面のようなクラックが。でもそれは、この絵画の価値をなんら損なうものではありません。

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金属フェチの心 66 満田晴穂さんの自在置物。

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金属フェチの心 と銘打っている以上、いずれ話題にすると予想された方もいるでしょう。明治期の超絶技巧を再評価するような、この動向の先駆にして渦中にいる、満田晴穂さんを紹介します。自在置物とは、幕末に行き場を失った武具や甲冑師の技術が奇形的に発達した末に出来た、輸出工芸品の呼び名です。それを現代美術のフィールドで展開したのは、レントゲンヴェルケの池内務さんの慧眼であったと思います。
私とは、企画展「功術」の起ち上げに関わって行った中で(現在は離れています。)、池内務さんに、彼を御紹介いただいた経緯があります。六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウトでの出品作が話題を呼んだので、御存知の方も多いと思いでしょう。とんでもない精度で、美術愛好者のみならず、昆虫マニアの注目も集めています。上は、自在置物腹広蟷螂(ハラビロカマキリ)。

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26日、広島市立大学まで、金工の永見教授の招聘で、特別講義にいらっしゃいました。
自在置物の実物を公開する瞬間。実物大の金属製立体造形。信じられない精度に教室の温度が上がった瞬間です。驚嘆の声に包まれました。学生には実際に触る事も許されましたが、ここまで繊細なものなのに、意外な耐久性をもった、丈夫なものでした。

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講義終了後、僕のスタジオ 641LABO.に遊びに来てくれました。ゼミ生とスタッフに、自在置物フナムシ(笑)を手渡す瞬間。授業では未公開だった、ミヤマクワガタも。

気色悪い、おそらくは嫌われ生物の代表格であるフナムシも、金属に置き換わってしまうと、その嫌悪感が浄化されてしまう。女性も何の抵抗も無く驚きをもって手を伸ばしています。

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フナムシを裏返すと、おぞましい程の再現。ここまでくると、それがどんなに苦手な生物でも、問答無用に感動してしまう。この極細の足の全てがリアルサイズで、完璧に動くのです。その滑らかさに、また驚嘆させられてしまうわけです。芸術作品の圧力というものは、小さな精度にも宿るんだと、みんなが思い知った日でした。

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このごろ

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新アトリエの建設が、3年がかりでやっと形になってきて、先日コンクリートの打設が完了しました。
僕がこの土地でいつまで制作ができるかわからないけれど、RC造とあって、ちょっとやそっとでは壊れそうもないものが出来上がる予定なので、アトリエとしての用途を果たしたら、個人美術館的なビューイングルームとしても転用できないか、考えています。

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先日新設なった、現代アートの若手発掘コンペ、テラダ・アート・アウォードの審査をしてきました。そのために汐留に泊まりましたが、窓からの風景が異様でした。見渡す限り、人の意図で作ったものしか見えない世界。端的に言えば、自然が全く存在しない風景。不自然とは文字通りこのこと。
コンクールの審査というものは、実はとても辛かった。それぞれの断片だけを提示されていて、そこから様々な想像と、更に調査もしなければ判断に自信が持てなかったから。粗よりは他人に御願いしなかったので、1次審査だけで、3日徹夜しました。
明後日、グランプリ(500万円!)と、個人賞のプレゼンターをやってきます。特別審査員として、スマイレージというアイドルグループの、和田さんという方が加わった模様です。


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金属フェチの心 65 南部鉄器がこんなものを。

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盛岡の御土産をいただきました。これは愛用出来そう(笑)。
猫文鎮。(岩鋳 IWACHU 文鎮 すましネコ)
南部鉄器は最近こんなものを作っているのか。ファンシーじゃなくて、好印象です。

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美大生の気晴らし。描写力の無駄遣い(笑)。

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ゼミ外の学生がこっそり鉛筆で描いて、渡してくれました。先日のフェルトの鳥といい、美大生の実力を無駄につかった余技。完成度の高さが笑える。ついでに原作(笑)漫画も貸してくださいました。読んだ事なかったな。これは。

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金属フェチの心 64 籠の鳥

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岡山のベネッセ本社屋まで出かけてきました。地下の即席プロジェクトルームでは、641研究室の学生たちが、貴重な夏を犠牲にして制作に取り組んでいる。僕はすぐに海外に出かけなければいけないので、その前の指示出しに。
休憩時間に学生たちが、ささやかな誕生日サプライズを催してくれました。コンビニのロールケーキを分け合う簡素なものでしたが、とても嬉しかったわけです。
問題は、プレゼント。いくら金属好きとはいえ、でかい(笑)。昭和40年代ころの、鳥籠。駅前の古物商で見つけたらしい。そういえば、小鳥を飼うのは現在よりもっとポピュラーだった気がします。
既に、ゆるいカタチの鳥が入っています。

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フェルト製。カラス? 青い鳥?
これ、僕だそうです。
眉毛の再現に悪意を感じる(笑)。日頃の描写訓練の成果(笑)。鳥籠は後輩たちのモチーフとして有効利用するとして、これも僕の宝物です。

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天野喜孝さんと初対面。

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先日、漫画家Sさんが、天野喜孝さん(右)に引き会わせたいと、エジプト料理屋さん(何故なんだ)をセットしてくださったので、??? と思いながら、のこのこ出かけてきました。
天野さんは制作者として大先輩だ。僕が生まれた年には、タツノコプロダクションに入社し、『みなしごハッチ』『新造人間キャシャーン』『タイムボカンシリーズ』等のアニメキャラデザインを手掛けてきた。平成生まれには、『ファイナルファンタジー』や、Hydeくんとのコラボなどの方がピンとくるだろう。
このところ、現代アートのシーンでも目にするようになり、今年のアートバーゼル香港のミズマさんのブースで、氏のタブローを拝見したばかりだ。
なんでも、僕の画集を以前から買って楽しんでくださっていたそうで、それが今回の会食の理由でした。制作にまつわるかなりディープなお話をうかがえました。中でも僕らの子供時代のセックス・シンボル(笑)、ドロンジョ様のコスチューム・デザイン秘話には、ぐっときました。子供の頃にいろいろ刷り込まれたクリエーターと時代を越え、接せられる事はこの世界ならではの経験で、とても不思議な時間でした。

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高等学校美術教科書 平成27年度新版に掲載。

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光村図書出版 高等学校美術教科書 平成27年度新版 『美術3』 に掲載されました。

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1ページ程のインタヴュー「美術の仕事」というコーナーです。見開きの向い側には、内藤礼さんのインタヴューも読めます。とても好きなアーティストなので、ちょっと光栄。

高校3年生が読むものですから、正直に答えています。内容は当然ながらエロは御法度(笑)。機会があれば、手に取ってみてください。

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金属フェチの心 64 佐藤允くんより団扇絵が届く。

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ギャラリー小柳のアーティスト、佐藤允くんより団扇絵が突如として届きました。
こええよ(笑)。
納涼とか言っているから、とにかく涼しくなってもらいたいらしいです。

このごろ僕は肖像画を描いていただく機会がぽつぽつとあるのだけど、団扇絵は初めてです。おでんや焼き芋もって、丑の刻参りなんて、熱いんだか寒いんだか、もうどうでもよくなってきます。金属フェチとか書いてあるし(笑)。
こういうアーティストになにか描いてもらうのは、内容はどうあれ(笑)こんなに嬉しいのものかと、していただくとしみじみ理解出来ます。

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