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2012年7月

30歳のコレクター

先日、某所でおこなったトークショーで、ひときわ雰囲気の違う青年が目につきました。終演後、言葉を交わしてみると、僕の作品をひとつだけ持っているという。聞いてみて納得。以前、清澄白河の KIDO Press, Inc. で2009年に制作したリトグラフ中の1枚を、まだ30歳である彼は、初めてのコレクションとして、選び、手にしてくれたのだという。
僕のリトグラフは、写真製版ではなく、初めて手にしたリトクレヨンでの描写精度に挑戦したものです。初体験でえらく苦労したことを思い出し、なんというか、光栄なことで嬉しくなりました。

ここ十数年の若いコレクターの芽は、ポスターに等しいインテリアアートや、エウリアン、現代アートのプチバブルなどで、無為に摘まれてしまった印象があるのです。その状況を忸怩たる思いで眺めるしかなかったわけですが、僕たちアーティストの立場で出来ることは、持っていただくこと自体に誇りを持っていただけるよう、エディション作品とはいえ作品性を軽視せずに、高品質なものを制作することだけなのです。

いわれてみれば確かに、御若い方に僕のタブローなどの unique 作品は無理だけど、版画なら手にできるのですね。
僕の版画作品は、まだたったの3種類しかありません。
今年は無理だけど、来年はずっと課題であった新たな版画作品を制作するつもりです。乞う御期待。

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現在、KIDO Press, Inc. で、print show vol.7 が開催中です。
2012. 7. 14 (Sat)- 2012. 8. 25 (Sat)
Tue - Sat  12:00-19:00/ closed on Sun , Mon, public holiday
*summer holiday 8/14-20
Add : 〒135-0024 東京都 江東区 清澄1-3-2-6F KIDO Press, Inc.
Tel & Fax : 03-5856-5540    +(81)35856-5540
web : www.kidopress.com/

KIDO Press, Inc.は、プリンター木戸均がアーティストとのコラボレーションをコンセプトに設立した工房。彼はNYの版画工房Universal Limited Art EditionsにおいてMaster Printerを勤め、確かな実力で知られている。アーティストへの依頼は彼自身がおこない、その美意識が反映したセレクションになっている。

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美術手帖8月号に寄稿しました。

【ちょっと遅いお知らせ】
美術手帖8月号は16日まで店頭に並んでますが、特集は「写真2.0」。グルスキーが表紙ですね。
この号ではなんと、レビュー欄の扉記事を書かせていただきました。
僕はいうまでもなく画家でありますので、評文を書くのは越権行為と知りつつ。

企画が佐藤卓氏、そして写真は上田義彦氏という布陣で、国立科学博物館で開催されていた『縄文人展』への批評です。後の展開も想起させられる、意欲的な展示でした。

興味のある方は、巻頭特集も素晴らしい充実ぶりですので、是非手に取ってみてください。

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職人の能力の底知れなさ

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僕は現在、義肢装具士の佐藤洋二さんに、恵里子さんの再現義手に続き、今度は自分の腕を作っていただいている。それもゴリゴリにハイパーリアルなやつを。
先日、型取りが終わり、仮型とつきあわせで確認して来たのだけれど、その際、職人さんのやばさに唖然とする出来事があった。
精巧な義手を作るには、まずはベーシックな僕の皮膚の色彩と素材を合わせる必要があるのだけど、佐藤さんは、複雑な生きている腕の色を、前回の短時間のミーティングで僕の気付かぬうちに記憶し、数ヶ月あけた今回のセッションで、いきなりほぼ完璧な色彩を用意して来たのだ。
写真で確認してもらいたい。凄いのひと言に尽きる。僕の腕の上にある、パレットナイフにのっているものが今回用意された腕の材料です。完璧な符合。これは経験の積み重ねと、職人のポテンシャルの底知れなさを如実に示すものなのでしょう。
こういうひとたちの中にいると、僕もぬるい仕事をしては駄目だと、気合いを入れ直すことができるのです。

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金属フェチの心 48 特注額縁

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諏訪市美術館に所蔵されることとなりました、Stereotype Japanese 01ですが、それにふさわしい衣装を着せて送り出してあげたくなり、特注額縁を付けてあげることにしました。
職人さんからその完成写真が先程届きましたが、自分が発注したとは言え、あまりの強烈さに絶句したので、ここで紹介します。
オランダ様式の超保守的な古典的フレームを奇形化したものですが、わざわざ何故こんな過剰でバッドテイストなものを、大枚はたいてオーダーしたのかというと、これは実は 総鉛張りなのです。
祈りのポーズをした絵画に、放射線遮へい能力が優れる鉛の額。なにを暗示したいのかは、いわずもがなです。
無茶な注文に応えてくれた、凄腕のフレーマーさんにお捻りあげたいほどですが、「もうこんな注文しないでくださいね」と言われてしまいました。
用途として無意味なものに最高の職能をおごるというのは、贅沢だと思う。

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金属フェチの心 47

毎度御馴染み「金属フェチの心」です。
まずはじめに、金属フェチではないのですが、中国で必要に迫られて買った、インチキ商品を御紹介します。中国のホテルって、ひげ剃りがアメニティにないことが多いのです。

iShaver 。インターネットともアップルとも関係のない、電気ひげ剃り w。

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64元ですので、800円程度のものです。ちなみに、ホームスイッチは、ただへこんでいるだけ w。
パッケージやケースはアップルの粗悪コピーなのですが、意外や意外。ちゃんと剃れるのです。充電式、ケーブルも必要ないコンパクト設計。お掃除キットや、替え刃まで付いていて、むしろ良心的でよく出来た商品に思えてしまった。根底は悪辣なのに良い面も見えるという、ヘンな感じ w。
こういったコピーものは、日本も通って来た道ですね。

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本来の金属フェチ。これは、明治あたりのものでしょうか。塗りの片口。錫で木地を塞ぐという力業の直しにぐっときました。
繕いというにはあまりに暴力的。

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道具屋である大嶌文彦さんの手によるもので、彼に譲っていただいたものです。
昨年だったか、佐藤辰美氏のギャラリー、大和プレス VIEWING ROOM での個展も印象的でしたね。
出品作はこういった「拾い上げたものたち」の群れでした。

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御来場を感謝です。

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諏訪敦 「問題解決不能の世界へ」は、定員 SOLD OUT + 招待客で埋まり、僕が用意した資料の半分も披露できませんでしたが、まずまず、良い反応ではありました。進行役をしてくださった津田編集長、雑務を一手にひきうけてくださった、Kさん、ありがとうございました。

建築家・原 広司さんの設計による『amu』は、こんな親密な空間で、天窓からの雨音が適度なBGMになってくれました。

余談。
終演後の関係者より「今日の御客様は美しいひとばっかり」との声が複数ありました。いやほんとうに。正味な話 w。
僕は話でいっぱいいっぱいだったし、照明が眩しくて確かめようもなく、「へ〜」というか、もったいない感じだったのですが、ちょっと自慢な気分にもなりましたよ。

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差し入れでいただいた、人形焼き軍国少年風。Mさん、ありがとう。

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続・ヘンなもの食べましたか。

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このところ告知が多かったので、無駄話を。
ゲテモノ上等!の看板をおろしたくなった話です。
葫蘆島の海鮮専門店では生簀が設えられていて、注文に応じて調理してくれましたが、見慣れないものがけっこうありました。
まずは「海腸」。初めて見た。実は北海道では「ルッツ」といって、刺身などで食べるみたいです。
これは原形をみてしまうときついです w。

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日本ではよく脱走ペットとして報道される、ワニガメが。
500g 108元ですので、1kg 2716円。やっぱり高めですね。蒸したり、醤油っぽいタレで煮込むようです。爬虫類系は抵抗無いのですが、なんだか可愛くみえてきちゃったので、注文せず。
あさり〜アカウミガメまで、まるで水族館のようでした。なんとしてでも食べる執念の歴史というか、中国人の業の深さをみる思いでした。

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別の日に、復讐戦としてナマズを食べました。ハードル低め w。これはとても美味しかったです。あんなに良い出汁が出るなんて、びっくり。泥臭さはショウガのような香草で完封されてました。

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