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2012年9月

フリーマガジン「PARTNER」について

20120928

フリーマガジン「PARTNER」は全国の美術系大学生が全てを運営し、企画・取材・デザイン・編集・配布までおこなうプロジェクトで、本日9月28日、最新号の23号が配布になり、全国120の美術系大学、専門学校に配布設置されたばかりです。

23号 テーマは「きれい」
美術家 鈴木康広、画家 諏訪敦、映像作家 細金卓矢のインタヴューがメインコンテンツ。デザイン〜ファイン系の興味までカバーする、なかなかの人選。

学生たち自身が選んでくれたとあって、実はそれが嬉しかったという理由だけで取材を受けたのでした。
既存の雑誌ではあり得ない顔ぶれで、逆に言うと現在の学生たちはこういった、ジャンルを横断するような組み合わせの記事が読みたい、というリアルな意思の表れなのかもしれません。

私の8ページにわたるロングインタヴューでは、例によってかなりの文量を言い換えたので、ライターの榎本さんには御面倒をかけてしまいました。浅井さんのデザインもよかったですよ。
掲載図版は全て学生編集者たちのセレクトだったのですが、彼らがどの絵を選んだのかは手に取って御確認ください。日本未公開、あるいは画集に未収録の絵も1点づつ掲載されてます。他には某商業誌で掲載拒否という憂き目にあったいわくつきのあの絵も、1ページフルカラーで掲載です。

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幕末〜明治の現場主義、月岡芳年の無惨絵

201209221更新が御無沙汰になってしまっていたので、私物を御見せします。
中折れもヤケもあってコンディションは良くないのですが、勉強になるので手元に置くことにした作品です。

三島由紀夫江戸川乱歩などが偏愛し、「血まみれ芳年」の異名で知られる月岡芳年の作品。

明治元年のシリーズもの、魁題百撰相 (明治元年 1868)の内、切腹という画題とリアルすぎる表情、死相の刷りなどで知られる「小幡助六郎信世」です。


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魁題百撰相 といえば、慶応4年、彰義隊と官軍の実際の戦闘に弟子を連れておもむき、写生による取材を元にして作られた代表的な作品。
画題こそ過去の武勇伝などになぞらえて、絵空事としての体裁をとっているけれど、殺し合いで歴史を作って来た人間の救いようのなさまでも感じさせる、残虐なディテールの数々は、現場での肉薄あってこその力業。浮世絵紙といえば形式的なフォルムを連想させるけれどさにあらず。国芳の門人でもあった芳年の絵は想像だけではなく、素描〜写生に裏付けされていたのです。

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The Nude ヌード 藤島武二から諏訪敦まで

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「The Nude ヌード 藤島武二から諏訪敦まで」という、企画展が実はひっそりと、近〜現代絵画の一大コレクションを抱える、笠間日動美術館で、開催されてました。明後日9日には最終日ということで、出品者本人のくせに観ていなかったことに気付き、慌てて出かけてきました。
常設では藤田にも由一にも、劉生にだってあえます。

50名程度の、藤島武二さん以降の国内作家をピックアップし、各作家1点づつの展示です。
この国の裸体画の歴史を俯瞰できるようになってます。

ちょっとだけ面白いものを紹介します。

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これはあの、熊谷守一先生の初期作品です。
蟻とか猫とか描いて力が抜ける前は、異様な怨念までも感じる画風だったのでした。
臀部辺りの接写ですが、絵の具がそのまま内蔵のようです。

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これは1925年頃に描かれた、島あふひさんの「裸婦習作」ですが、これはある意味とても有名な絵画です。なぜって、モデルがあの、「別れのブルース」で有名な昭和の代表的な歌手、淡谷のり子先生の無名時代、17歳の御姿だからです。音楽学校に通う為にこうやって生活費を稼いでいたということですが、あまりの恥ずかしさに気絶した、というエピソードも残っています。

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企画室の奥では、ジャコメッティのブロンズをこんな至近距離で拝めたりもします。贅沢。

他にはことのほかアバンギャルドな梅原龍三郎先生の予想外のぶっ壊れ具合とか、見所、突っ込みどころ満載です。

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企画タイトルに名前を連ねている責任上、僕の作品はこんな感じで展示されております。
これ以上シンプルにしようのないほどのシンプルな女性立像を、あえて。
「絵というか新しい生き物みたいだった」という感想を間接的に聞きましたが、その通りで、生々しい人物像を目指したというより、透明でちょっと不思議な対面感をめざしたものです。

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