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2012年12月

白色硬質ガラスをつかってみた。

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本年度中も、いろんな分野の方がこの狭いアトリエにまで会いにきてくださいましたが、その中でも印象的だったのは FILTER LLC. の主宰者中村純基さん。日本の新しいスタンダードなテーブルウェアを目指した製品、アトモスフィアを見せてくださいました。
ファイヤーキング的なものかな。と思いきや、さにあらず。中村さんによると一見簡単そうな「乳白色」「硬質ガラス」というシンプルな条件で、均一にクオリティを出すのはとても難しい注文だったそうで、数知れない工房をあたり、やっと北海道・小樽で対応出来る硝子職人さんと出会い、それが可能になったそうです。
春〜この冬までずっと使ってみましたが、うっすらと透ける質感は、飲み物の色彩の表情をとても繊細に見せてくれます。特に、内側の飲み物の水面境界の見え方が溶けあうようで、独特。外側も飲み物の色がふんわりと匂う感じです。ガラスなのに厚みと暖かみがあるので、季節を通して違った表情を感じながら使うことが出来ました。
純国産、新しいスタンダードというのは、とても高い目標設定だと思いますが、中村さんの情熱を注がれている御話をうかがうのは、楽しい経験でした。

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金属フェチの心 51 ローマでバロック〜現代建築を。

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ローマにて。2010年開館したイタリア初の国立現代美術館、国立21世紀美術館 (MAXXI) のエントランスレバーです。一見場にそぐわない気もするでしょう。個人的にはステンレスの工業製品特有の冷たさがいい。こういう機能優先のデザインは大好きだ。

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外観はこんなで、かなり派手。ちょっと前のアニメ風タイポのディテールをまず想起してしまった。設計はバグダッド出身の女性建築家、Zaha Hadid脱構築主義の代表格。

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内観の導線はかなり複雑に見えて、意外とシンプル。ちょっと空想的で異空間の楽しさがある。

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午後はローマとあって、バロック期を代表する正真正銘の天才ふたりを見て回るためにパラッツォ・バルベリーニ国立古代美術館へ。
まずはカラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio)。『ホロフェルネスの首を斬るユディト/Judith Beheading Holofernes』(1598年 - 1599年)と『ナルキッソス/Narciso』(1597年 - 1599年)を堪能。『ホロフェルネスの首を斬るユディト』(部分)に観られるように、刃物の扱いなどの動勢描写の破格なリアリティは「奴は人殺しをしたことがあるにちがいない」と当時、疑惑を呼んだ。このあと実際に彼は殺人を犯し、逃亡先で死去するが、死因は画家らしく、実は毒性の高い当時のシルバーホワイトを多用した為による中毒死だったようです。

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もうひとりはジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini)。彼はいわずとしれた、奇跡的な彫刻でローマをバロックの美意識で塗り替えた彫刻家だが、ここでは珍しい、彼のタブロー『David』を至近距離で拝める。画家としてもかなりの技量だったことがうかがえる。

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今日の締めは「聖テレジアの法悦」(ローマ、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会堂コルナロ礼拝堂)。聖女テレジアが神の光に満たされる神秘体験を活写。ベルニーニは礼拝堂の全てを設計したそうで、バロックのインスタレーションとも思える。実際、過剰装飾に包囲された中の祈りは、18年前にスペインのとある寒村を訪れ、プレロマニコの質素な礼拝堂で体験した祈りとはまったく別種のものでした。

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続・とにかく高いところに登ってみた。

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トスカーナ地方にはモンテルキという、ピエロ・デラ・フランチェスカが15世紀に描いた「出産の聖母」で知られている村があります。この絵はこの地域から出たことがなく、おそらくいかなる美術館や企画にも貸し出さないことでも有名で、観たければここを訪れるしかありません。
この写真はモンテルキ郊外に13世紀に創立された教会〜墓場(Santa Maria de Momentana )を俯瞰撮影したものなのですが、ここの礼拝堂に「出産の聖母」が15世紀に描かれ、1922年に現在の Museo della Madonna del Parto (出産の聖母美術館)に収蔵されるまで、保管されていたのだそうです。

現在観るべきモノは何もないのは知りつつも、用意された収蔵場所より本来的に置かれていた場の空気が知りたかったわけです。オリジナルの建築物やフレスコがあったはずの奥の壁面は構造も変わり、残っていないようです。地元の人も何故こんな辺鄙な場所に日本人がくるのか不思議そうでした。

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この写真は正確には登ってみたのではなく、その逆です w。見上げてます。
ウンブリア州の南、オルヴィェートというルカ・シニョレッリのフレスコで有名な町には、16世紀の螺旋構造の井戸 Pozzo di San Patrizio が残されていて、深さ62メートルの底まで降りることができます。ときの法王クレメンス7世の命により高台の城塞都市に掘ったものなので、おおがかりで建築としておもしろいものです。

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とにかく高いところに登ってみた。

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フィレンツェで、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のDuomoに登る機会がありました。でもあんなきつい思いをして8ユーロも支払うなんて、解せない w。高さ90mのクーポラ頂上までは階段464段もあったらしい。屋根を見下ろすとこんな感じです。

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クーポラ内フレスコ『最後の審判』は「画家列伝」でおなじみのジョルジョ・ヴァザーリとフェデリコ・ツッカリ。日本では「地獄」の絵本がママさんたちに大ヒットだそうだけど、西洋の地獄はえぐくて、わけがわからないこわさです。

201212183_2サン・ジミニャーノ歴史地区に移動しました。12世紀にコムーネとして独立し、シエナ派の芸術家を多く輩出しているそうです。

特徴的な塔は最盛期は70あまりもあったそうで、現在は14本の監視用の塔が残されています。

ドゥオーモ広場わきには52mの唯一現在登頂可能な塔があったので、ここでも性懲りもなく、階段で登ってみました。



こんな感じでかなりこわいです。

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頂上で身を乗り出すとこんな感じで、むずむずします w。

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そういえばここは世界遺産でした。風景が素晴らしく、視線を平行にうつすと、疲れも吹き飛ぶ壮観さです。

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Bellini 〜 Adel Abdessemed まで。

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移動しました。ヴェネツィアと言えば、そこここで Giovanni Bellini の名を目にします。 アカデミアでも良品が数多いけど、San Zaccaria の「玉座の聖母と諸聖人」は全ての人物の表情が素晴らしく、静謐な気分にさせてくれます。

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対岸には、かの Peggy Guggenheim COLLECTION があります。近代〜現代美術の歴史をダイジェストで見せてくれ、邸宅サイズとは言え全てが名品。 Alberto Giacometti の過渡期を思わせる作品に感激する。先日のピエタに続き、珍しい横のショットを。









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ごくちかくには、安藤忠雄さんが古い税関を改装した新しい現代美術館 Punta Della Dogana があって、なかなかない巨大空間。 写真は Paul Maccarthy の近作。かなりのえぐさ。これが9体並ぶのは壮観ではある。

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現代美術のシーンではこのごろ、剥製の実物をリファインした制作をよく見かけるようになりましたが、これも論議を呼びそうな、Adel Abdessemed のインパクトある作品。

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こんな感じでかなりこわい。アニメやSFX映画でよくみるような悪夢のイメージだけど、こうもストレートに実体化されると驚かされる。鑑賞者それぞれがもっているはずの、良識のグラデーションを問われているような作品。
20121214ホテルに帰って、御当地のべたべたに甘いカクテル「Bellini」 w をいただきました。

それにしても Bellini〜Adel Abdessemedまでとはヴェネツィアの懐は広い、というか僕のチェックする関心のありようの振れ幅が極端ということか。
ちょっと休んだ後、来年にグループ展覧会場として使う建築物をチェックしにいくことにしよう。

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金属フェチの心 50 @スフォルツァ城にて

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イタリアで年末を過ごすことになってしまいました。

そんなわけでミラノのスフォルツァ城博物館で金属フェチ。
架刑彫刻の足の部分。元々あった釘とは違い、BBPR建築事務所が博物館の改修工事を1956年に施工した際、新たなセッティングのため十字のフレームに取り付けた際、新たな「金具」として誂えられたもの。
キリストはいつまでも我々の原罪ゆえの責め苦を負い続けるというわけだ。

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上半身はこんな感じ。14世紀の作にしてなお、ロマネスク的な素朴さを残す。硬く、硬直したイメージは、ちょっと表情が珍しく、全体を通しても印象的でした。

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博物館のおわりに設置されているは、ミケランジェロ84歳の晩年のノミ跡も生々しい、つまり最後の作品にして至宝。ロンダニーニのピエタです。 体力が弱ってしまった彫刻家の手の跡が残り、完璧な仕事ぶりの若き日の作品と見比べると、これがあのミケランジェロ、と絶句してしまうような衰弱ぶりを見て取れます。 でもこの作品のファンは多く、私の知るアーティスト達もこの作品を賛美してやまない者が多い。

実際、実物を前にして観ると、やはりアウラはすごいものでした。写真はちょっと珍しい横アングルのスナップ。このように弓なりの大きな曲線がみてとれます。

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「企画の遊戯」展示マップ

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高崎市美術館と付帯施設である旧井上房一郎邸において、明日2012年12月5日(水)から開催される「企画の遊戯」'12 ~ '13に出品しますが、展示マップが出来上がってきました。(デザイン:川松康則)
concept space 主宰の福田篤夫と高崎市美術館との、国際色豊かなコンセプチュアル・アーティストを中心とした共同企画。
私の作品は1点、旧井上房一郎邸にセットされますが、市の重要指定文化財であるこの邸宅が、高崎市美術館管轄になってはじめての本格的な展覧会企画です。同じ部屋には、ART & LANGUAGEと、AIMという、なかなか珍しい組み合わせ。ハレーションで終わるのか、企画者の目論見通り新しい局面を見出せるのか、御確かめになってください。

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