金属フェチの心 66 満田晴穂さんの自在置物。

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金属フェチの心 と銘打っている以上、いずれ話題にすると予想された方もいるでしょう。明治期の超絶技巧を再評価するような、この動向の先駆にして渦中にいる、満田晴穂さんを紹介します。自在置物とは、幕末に行き場を失った武具や甲冑師の技術が奇形的に発達した末に出来た、輸出工芸品の呼び名です。それを現代美術のフィールドで展開したのは、レントゲンヴェルケの池内務さんの慧眼であったと思います。
私とは、企画展「功術」の起ち上げに関わって行った中で(現在は離れています。)、池内務さんに、彼を御紹介いただいた経緯があります。六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウトでの出品作が話題を呼んだので、御存知の方も多いと思いでしょう。とんでもない精度で、美術愛好者のみならず、昆虫マニアの注目も集めています。上は、自在置物腹広蟷螂(ハラビロカマキリ)。

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26日、広島市立大学まで、金工の永見教授の招聘で、特別講義にいらっしゃいました。
自在置物の実物を公開する瞬間。実物大の金属製立体造形。信じられない精度に教室の温度が上がった瞬間です。驚嘆の声に包まれました。学生には実際に触る事も許されましたが、ここまで繊細なものなのに、意外な耐久性をもった、丈夫なものでした。

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講義終了後、僕のスタジオ 641LABO.に遊びに来てくれました。ゼミ生とスタッフに、自在置物フナムシ(笑)を手渡す瞬間。授業では未公開だった、ミヤマクワガタも。

気色悪い、おそらくは嫌われ生物の代表格であるフナムシも、金属に置き換わってしまうと、その嫌悪感が浄化されてしまう。女性も何の抵抗も無く驚きをもって手を伸ばしています。

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フナムシを裏返すと、おぞましい程の再現。ここまでくると、それがどんなに苦手な生物でも、問答無用に感動してしまう。この極細の足の全てがリアルサイズで、完璧に動くのです。その滑らかさに、また驚嘆させられてしまうわけです。芸術作品の圧力というものは、小さな精度にも宿るんだと、みんなが思い知った日でした。

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金属フェチの心 64 佐藤允くんより団扇絵が届く。

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ギャラリー小柳のアーティスト、佐藤允くんより団扇絵が突如として届きました。
こええよ(笑)。
納涼とか言っているから、とにかく涼しくなってもらいたいらしいです。

このごろ僕は肖像画を描いていただく機会がぽつぽつとあるのだけど、団扇絵は初めてです。おでんや焼き芋もって、丑の刻参りなんて、熱いんだか寒いんだか、もうどうでもよくなってきます。金属フェチとか書いてあるし(笑)。
こういうアーティストになにか描いてもらうのは、内容はどうあれ(笑)こんなに嬉しいのものかと、していただくとしみじみ理解出来ます。

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金属フェチの心 63 伊藤めぐみ監督、おめでとうございます。

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シリア内戦の取材中に銃撃され死亡した山本美香さん(享年45)の精神を引き継ぐべく創設された「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」の第1回授賞式が26日に開かれました。
僕に記念盾(トロフィー)のデザイン依頼をいただきましたが、僕は画家ですので監修として全体のイメージを考え、相談役+デザインに猿山修さんにはいっていただき、オブジェ制作に若手立体作家の渡辺遼君に御願いすることにしました。
オブジェは山をかたどったもののようですが、“祈り”がカタチを与えられたかのように見えます。
来年以降の記念盾はこれ同じものを継続するか、あるいは毎年違う若手造形作家の発表の場としての意味合いも持たせるべきか、現在思案中です。

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受賞者は、弱冠29歳の伊藤めぐみさん。対象になった受賞作品は、自己責任というフレーズでバッシングが吹き荒れた、「日本人人質事件」当事者の現在を捉えたドキュメンタリー映画『ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして』
イラク戦争開戦直前、高校3年生だった少女が、日本政府がイラク戦争を支持するのを目にして、初めて「自分の戦争」という意識を持った経験を、年月を経て、ひとつの実直な作品に結実させました。 素晴らしい取材力を発揮した若い受賞者に恵まれ、この賞を、財団関係者とともに育ててゆく思いを新たにしました。
映画「ファルージャ」公式サイト:http://fallujah-movie.com/

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金属フェチの心 62 香港

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御無沙汰の金属フェチの心。
先週はずうっと、香港で個展にかかりっきりでした。
これは空港内のバスのつり革。昔のSFに出てくる駄目なロボットみたいでちょっと好きでした。

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海外初個展は関係者の評判も良く、6月末頃までの延長が決定しました。正式な会期は後日発表します。

Sleepers / Solo Exhibition of Atsushi Suwa
安睡者 諏訪敦 展
Kwai Fung Hin Art Gallery  G/F, 20 ICE HOUSE STREET, CENTRAL,香港


展招待客限定のレセプションで配布された図録 Sleepers は、拙著「どうせなにもみえない」に匹敵する内容で出版されましたが、色再現の品質がギャラリーの基準に達していないので急遽刷り直しになり、いまとなってはレアな初版は今夜の来賓だけにお持ちいただいて、残部は廃棄することにしました。6月10日に改訂版の販売が香港で開始されます。ISBNコード付きですので、日本でも取り寄せも可能かもしれません。情報は追って。

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佐藤和孝さんの依頼で描くことになった、山本美香さんの肖像画のインスタレーション。彼女のジャーナリストとしての功績も中国語、英語で解説。

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金属フェチの心 61 BRUTUS誌に掲載。

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一般誌 BRUTUS のライターさんがこのブログを御覧になったそうで、取材依頼をくださいました。今週発売の BRUTUS 771号の「THE COLLECTORS 2014 手放す時代のコレクター特集」にて、僕の狭いアトリエにいつのまにか吹き溜まってしまった、国産金属製手回し式鉛筆削りたちが紹介されております。本業の話題ではないけれど、コンビニなどで手に取ってください。表紙にもちょっと出てますね。
それにしても。世の中にモノの魔力に憑かれた方たちは数知れずで、とんでもないマッドコレクターたちを、このイシューでは目にすることができます。制作の季節的なストレス発散に過ぎない僕の蒐集癖は変態度としてはまだまだ軽いものだと、妙に安心させられるものでした(笑)。

取材時のエピソードを。
ライターさんは編集者さんに、取材先が画家の諏訪敦だと伝えてなかったそうで、当日何も知らずに訪れた編集者さんを慌てさせてしまいました。ただの変わり者のコレクターだと思っていらっしゃったらしいです(笑)。

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金属フェチの心 60 PEUGEOT コーヒーミル G1

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プジョーは昔、刃物/金物類製作企業だったそうで、コーヒーミルに至って、二重螺旋構造の臼を発明したそうです。「G1」は、1950年~52年にプジョー社創業百周年記念に発表された手動式ミルで、樫のハンドル以外は総て鉄製。トップにあるナットから、順に比較的簡単に分解〜清掃が出来、美しい円錐形状のミル刃もすぐに観察できます。
シンプルなデザインに、厚い塗装の剥離がみせる鉄の色気。デッドに近いコンディションなのに実用にするなんて、コレクターならとんでもない行為でしょうけど、僕はアンティークであろうとレアであろうと道具なら使いたいのです。641LABO.のカフェごっこではバリバリの現役で大活躍です。それほどに使いやすい。

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金属フェチの心 59 SONY DSC-RX100

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僕は旅が多い。あちこち移動しているのだけど、旅カメラは今年に入って SONY DSC-RX100です。ここ数年ずっと RICOH贔屓だったのですが、これはとても優秀すぎで、思わずなびいてしまいました w。

コンデジと考えると高めだけど、T-star F1.8レンズに価値を感じれば安い。1眼に迫る高精度な画像が、さほど苦労せずバシャバシャ撮れるのは脅威です。接写性能以外は特に弱点が見つからない。ハードな旅に付き合わせてものすごく荒っぽくあつかっても、丈夫。ケースも買わずにリュックに放り込んで乱暴に使っていますが、角の塗装擦れは、往年のライカの軍艦部みたいと思えない事もない w。その硬質なデザインは経年変化を風情に見せてくれて、イイ。
SONY といえば、コンパクトさと凝縮された性能の両立。このところの SONY製映像機器の充実ぶりは、ミノルタの遺産が生きてきたのでしょうか、かつて纏っていたカリカリした先鋭の空気を取り戻したかのようで…α7、α7Rも期待大なのです。

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金属フェチの心 58 抜歯用プライヤー

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諏訪敦研究室のプロジェクトが一段落しました。福武教育文化振興財団の助成と御厚意で、文化財クラスの美術品を借り出して研究した2週間余の濃い格闘の日々も、すぐに通り過ぎてゆきました。
軽い打ち上げをグァテマラ人の焼くお好み焼き屋で催し、その流れでチームメンバーの狭い下宿に転がりこみ、くだらない話を夜更けまでごちゃごちゃ話しながら、そしてときには上の空で「これも小さな死かもしれないなあ」とかぼんやり考えていたら、メンバーのひとりが「誕生日もうすぐでしたよね」と、これをくれました。
時代も生産国もわからないけど、抜歯用のプライヤーであることだけは、はっきりしているのだそうだ。たとえそれがどういうものでも嬉しかったけれど、とてもいいサイズ感で物としてもなかなか。曰く別に気張った物ではなく、私が〝金属フェチ〟というのを日頃ふと思い出す事があるそうで、たまたま買っていてくれたとのこと。たまにはこんなこともあります。

新幹線の車窓にて。

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金属フェチの心 57 閉じ込められていたもの

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アンティークのポットをずっと使っていますが、休憩で皆にお茶を煎れていたら、急にこんなものが注ぎ口から〝からり〜ん〟とこぼれてきたのでびっくりしました。

英国製の精密ドライバーでした。最初は特大の茶柱かと(笑)。茶渋で真っ黒にコーティングされていて、なんだか分からずに掃除したら、現在は見かけない真鍮製のハンドルが現れました。

あのポットは1940年代に英国で製造されましたが、やがて古物として売られ、日本のディラーに買われて海を渡ってきたものです。そうすると最長で70年あまりもの間、ポットの中に閉じ込められていた可能性もあるのです。さぞ心細かったことでしょう。そういえばずっとカラカラ謎の音がしていたのでした(笑)。

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金属フェチの心 56 KRUG MISSION の USB KEY

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MHD Moet Hennessy Diageo K.K. より、KRUGの鍵が届いた。
そういえばいつだったか、突然に KRUG MISSION というミステリーツアーに招待された。行き先も明かされずに連れて行かれた先は川崎のSOLSO FARM。 これは不定期に行われている、シャンパーニュKRUGが主宰する企画らしかった。

201307291 KRUG MISSION 参加者

横川正紀 DEAN&DELUCA 代表
脇屋友詞 Wakiya オーナーシェフ
諏訪敦 画家
荒木飛呂彦 漫画家
中村扇雀 歌舞伎役者
千住明 作曲家
舘野晴彦 幻冬舎
神舘和典 作家
齊藤太一 SOLSO FARM 代表
山本耕平 テノール歌手

KRUG6代目当主 オリヴィエ・クリュッグ

今回は「音」がテーマだったらしい。
予告なく送られてきた鍵のUSBメモリーには、その時に即興で千住さんをはじめ参加者全員で作曲した曲と、KRUGの泡が弾ける音、そしてRoland ピアノの音とがミックスされた、音声ファイルが記録されていた。アフターケアまで徹底してゲストを楽しませる思想が貫かれている。

その模様は現在発売中の雑誌『GOETHE(幻冬舎)9月号』に掲載されている。

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